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The Japanese Society for Experimental Mechanics
日本実験力学会
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日本実験力学会の現状と今後の課題

日本実験力学会  会長 横山 隆

 日本実験力学会が2001年1月1日に発足してから,歴代会長のご指導の下に順調に発展をとげてきました.といっても,その間,(財)日本学会事務センターの破産(2004年)などの被害により,本学会の財政面での運営が懸念された時期もありましたが,当時の森本会長,松井副会長はじめ梅崎総務理事の適切な対処により,その被害を最小限に食い止める事ができました.それ以後の本学会の財政面は,機関誌「実験力学」への投稿論文数の増加も貢献して極めて健全な状態に推移しています.学術活動面におきましても,国内だけでなく海外におきましても,本学会の存在感・影響力が一層大きくなってきました.このような発展期に,今回はからずも会長を引き受けることになり,身に余る光栄と感じるとともにその職務の重責を痛感しております.

 さて,改めて本学会の現状を再確認し,今後の学会の課題について考えてみたいと思います.新たな学術活動として,本学会が主催する初の国際シンポジウム(International Symposium on Advanced Fluid/Solid Science and Engineering in Experimental Mechanics)を昨年9月に札幌市で,成功裏に開催することができました.この国際シンポは本学会の主たる研究対象である固体力学,流体力学,生体力学関連の研究者が「実験力学」という枠組内で,一堂に会して議論することを指向した全く新しいタイプの国際シンポでした.幸いにも参加者から好評を頂いたこともあり,同国際シンポを今年9月23日〜25日にその第2回目を,関西大学での開催準備を進めているところです.その他の国際的活動におきましても,設立趣旨を共有する米国のSEM (Society for Experimental Mechanics, Inc.)や英国のBSSM(The British Society for Strain Measurement)の主催する国際会議を積極的に共催,協賛してきました.本学会編の初の刊行物として,「よくわかる実験技術・学術用語」が出版され,「実験力学ハンドブック」(朝倉書店)も今年度内には出版される予定です.懸案であった「実験力学」の掲載論文(2006年1号より) のJ-STAGE((独)科学技術振興機構が支援する電子ジャーナル)への公開も開始されました.また本学会は将来を担う若手研究者の支援を積極的に行ってきました.具体的には,本学会が共催する特定の国際会議(国内開催を含む)での学生員の講演発表のための参加費用の一部を,経済的に支援してきました.今後もこの方針を継続していく予定です.さらに本学会の学術活動を基礎から支える分科会活動については,分科会の規則に従い発足後5年を経過した分科会の研究活動を再評価し,同時に新しい分科会の設置申請を理事会にて承認しました.本分科会の研究活動の活性化を一層促進するために,活動資金の増額を決定しましたので,会員諸氏の各分科会行事への積極的参加をお願いします.

 課題としては,本学会の会員数の伸び悩みがあげられます.現時点において,会員数は学生員を含めて約400余名です.当面はまず500名を超すことを目標としています.内閣府HPによると2008年12月には従来の財団法人の一般法人(税制上の特典無)・公益法人(税制上の特典有)への移行審査開始が予定されています.本学会は現状のままでいくのか,どちらかの法人化への認可申請をするのか,真剣に議論し対処していく必要があります.また事務局の移転問題があります.前述の(材)日本学会事務センターの破産以後,近畿大学生物理工学部内へ事務局を移動して現在に至っております.このような状況にあるのは,単に経済的な事情によるものではなく,本学会の事務業務を全面的に民間の学会業務代行会社へ委託することに,一抹の不安を感じているからです.早急に適切な場所に事務局を設置することを検討して,実行したいと思います.さらに新たなる課題として,産学連携の促進があります.本学会では新たに「産学連携支援センター」を立ち上げ,本会会員が独自に開発した実験手法やユニークな測定技術を,産業界で実用化していくことを積極的に支援していく予定です.具体的には本会会員への技術情報アンケートに基づく資料収集から初めて,会員の了解の下にこれをデータベース化して学会HPへの公開や,企業コーディネイターによるこれらの技術情報の産業界への積極的発信などを念頭に置いています.さまざまな形の産学連携支援を通じて,日本の産業界への技術移転を促進することは,本学会の社会的貢献でもあります.直面する諸課題を克服しさらなる発展を実現するために,会員諸氏のご支援とご協力を切にお願いする次第です.


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Last Updated September 28, 2010