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The Japanese Society for Experimental Mechanics
日本実験力学会
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2017年度日本実験力学会学会賞表彰 選考結果報告

2017年度日本実験力学会学会賞受賞者が選考委員会において決定されました.2017年度年次講演会総会(平成29年8月29日,岡山理科大学)において表彰式を行い,受賞者には表彰状と記念のメダルが贈呈されました.

(敬称略)
功績賞 1件

坂本 信(新潟大学・副学長)

受賞理由
 坂本信氏は,整形外科及び歯科領域のバイオメカニクス研究において顕著な業績を有し,特に,生体関節,人工関節,骨組織を対象とした臨床応用研究での成果は,学術と臨床の両面で国の内外を問わず,高い評価を受けておられる.中でも関節機能等の検査診断機器の実用化では,我が国の臨床バイオメカニクス研究の質の高さを示した一人でもある.他方,推薦者は,本会発足2年後に評議員となり,その後,企画担当理事,顕彰担当理事,副会長,会長と永く本会の発展に寄与されてきた.
このように坂本信氏は,「実験力学分野における独創性かつ有用性のあるバイオメカニクスについての研究及び実験力学分野における学術・技術の進歩,発展・向上」における顕著な功績は,特別賞(功績賞)に値する.
論文賞 2件

森田康之(名古屋大学),石黒孝知(名古屋大学),巨陽(名古屋大学)

受賞論文:Experimental Evaluation of the Effect of Deposited Nanoparticle Size on Current Enhancement of Solar Cells using the Sputtering Technique,Advanced Experimental Mechanics, Vol.1, pp.115-119, 2016.
受賞理由
 本論文では,金ナノ粒子を太陽電池表面にスパッタリングし,表面プラズモン共鳴を発生させることによって,太陽電池の発電効率向上を目指している.表面プラズモンが表面感度を増強させることは既に知られているところであるが,実際に金ナノ粒子径を変化させた複数の試料を作製して発電効率との関係を詳細に調べている点,光源のスペクトル特性と金ナノ粒子径に依存するプラズモン共鳴周波数の関係に着目して検討を行っている点は高い評価に値する.よって,本論文は実験力学的意義が高く論文賞に値する.

三宅修吾(神戸市立工業高等専門学校),田口秀幸(現:株式会社村田製作所,元:株式会社コベルコ科研)

受賞論文:分光画像撮影による高輝度LED の熱変形計測法,実験力学Vol.14,No.4,pp.238-243, 2014.
受賞理由
 本論文は,2台のCCD カメラを用いて行うデジタル画像相関法を発光中の高輝度 LED においても変形計測できるようにすることを目的に研究を進め,830nm のハイパスフィルターおよび700±10nmのバンドパスフィルターを使用して白色LED 表面のランダムパターンを認識できるようにし,それを用いて変形計測実験系を構築した.さらに,白色LED表面の変形計測を行い,適切なフィルターを使用することにより,変形計測できることを示した.よって,本論文は実験力学的意義が高く論文賞に値する.
技術賞 2件

小野勇一(鳥取大学)

受賞研究:電着ニッケル薄膜を用いた繰り返し応力測定法 − 計測可能な応力と雰囲気温度の検討 −,実験力学,Vol.16,No.3,pp.215-220,2016.
授賞理由
 本対象論文では,電着ニッケル薄膜を用いた繰り返し応力測定法において,その計測可能な応力範囲と雰囲気温度の検討が詳細に行われている.とくに各雰囲気温度において最大せん断応力を測定できる構成式を確立した点は大きく評価できる.ひずみゲージでは測定できないような部位の応力測定を可能とする手法として電着金属膜を用いる手法は有用であり,対象者はこれまでにも一連の研究成果を着々と上げている.とくに対象論文の電着ニッケル薄膜を用いる手法は,高温環境での応力測定ができる手法として実用的な手法であり,今後の研究の発展に大きく貢献するものと期待できる.よって,本研究は技術賞に値する.

大橋 憲(中外炉工業株式会社),井田民男(近畿大学),水野 諭(近畿大学)

受賞研究:バイオコークス技術を用いた震災除染物の減容化,日本実験力学会講演論文集,Vol.16, pp.107-108,2016.
授賞理由
 東日本大震災で発生したバイオマス由来の除染収集物の多くは仮置場に長期保管されており,その管理,中間貯蔵施設への安全な運搬が課題となっている.当該研究では,バイオコークス化技術を用いて減容化を行うに際し,土砂等が混入した状況でも最大 15%程度までの混入率であれば減容化が可能なことを検証すると共に,放射性物質であるセシウムの水への溶出率がバイオコークス成型により1/17 となることを明らかにしている.除染収集物を安全に長期保管するための技術を,実際の現場で実験的に検証していることは特筆すべき点で,日本実験力学会技術賞に相応しいものとみなすことができる.
奨励賞 1件

太田 岳(新潟大学医歯学系)

受賞研究:・骨芽細胞培養系への振動刺激負荷,日本実験力学会講演論文集,Vol.13, pp.327-328,2013.
・細胞培養系への振動刺激により表面に生じるひずみ評価と細胞分裂に関する研究,日本実験力学会講演論文集,Vol.14, pp.45-46,2014.
・骨芽細胞へのin vitro 振動刺激負荷システムの確立と培養表面の動ひずみ様相,日本実験力学会講演論文集,Vol.15, pp.266-267,2015.
・The effect of Vibration Strain on Osteoblasts Cultured on A Type I Collagen-coated Silicone Membrane,Proc. of the 10th International Symposium on Advanced Science and Technology in Experimental Mechanics, Paper No.038, 2015.
授賞理由
 本研究では,力学的刺激が骨芽細胞分化に及ぼす影響を調べるため,細胞培養面に振動刺激を与えることが可能な負荷装置を作製し,周波数や加速度を変化させて検討を行っている.用いている実験系や試験手法には工夫と独創性が認められる.一連の研究によって明らかにされている振動刺激パラメータであるひずみや周波数,加速度などが骨芽細胞分化に及ぼす影響には,学術的な価値が認められるとともに,骨粗しょう症予防や歯科矯正治療に役立つことが期待される.よって,本研究は奨励賞に値する.

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Last Updated Nov. 15, 2017